IPO銘柄(新規公開株)の相場には、特有の「季節性」があります。スナップアップ投資顧問のIPO相場データの資料によると、タイミングをおさえることで「ハズレ」を引く確率が下がると言われています。IPO株を公募で買ううえで「良い時期」と「悪い時期」を考えましょう。


IPOとは

IPOとは「Initial Public Offering」の略だ。株式の新規公開を意味する。公開時の初値が公募価格(証券取引所に新規公開する株式を投資家が購入するときの価格)の2~3倍に急騰することも珍しくない。個人投資家の間では、「IPO株は儲かる」という期待感が広がっている。

しかし、やはり株だから「必ず勝てる」ということはない。実際2000年にインターネットバブルが崩壊した直後には、初値が公募価格を大きく下回るケースが続出した。当時を知る投資家のなかには「もうIPO株はこりごり」という人がいるだろう。

公募株を手に入れ初値で売る

IPO(新規公開)株は人気が高いです。公募株を手に入れ初値で売れば、儲けが出る場合が多いです。ほかにも儲ける手がいろいろあります。IPO市場の特性をしっかりと把握し、投資タイミングを覚えましょう。


IPO株を公募で買ううえで「良い時期」と「悪い時期」

年明けの1号案件は初値が高騰しやすい

まず、初値の騰落率には季節性があることを覚えましょう。IPOを手がける証券会社が休暇に入る時期、つまり年末年始、5月のゴールデンウイーク、8月のお盆は、IPOのない「空白期間」です。

この空白期間にからんだ投資家心理が初値の騰落率に大きくかかわってくる。IPO市場は例年、年明け後は、1月下旬から始まる。前年末はクリスマス前後に打ち止めになることが多いので、ほぼ1カ月間IPOがない。

だから、第1号銘柄には、IPO市場の再開を待ち焦がれていた投資家たちが殺到します。この結果、初値が急騰しやすい。

3月に入ると上昇率が下がる傾向

この勢いは2月になっても続くが、3月に入ると上昇率が下がる傾向がある。IPO件数が増加して需給バランスが崩れ、各銘柄の取引が活発でなくなるからだ。

なぜこの時期にIPO件数が増えるかといえば、3月本決算の会社が多く、年度末までに上場したがる経営者が多いからだ。

ゴールデンウイーク後に強い相場

4月は、3月の反動で強い相場になりやすいが、5月はゴールデンウイークという空白期間に突入します。休暇明けの6月と7月はその反動で盛り返す。ちなみに、ゴールデンウイーク明けの相場が1年で一番強い傾向がある。2005年も5月20日上場のセレブリックスは非常に高く、初値騰落率は何と639.13%だった。

ただ、最近は季節性が薄れてきたといわれている。

11月は一転して弱含む

8月のお盆の空白期間を経て、9月は再び強含む。この勢いは10月も続くが、11月は一転して弱含む。ここがIPO相場の1年の「底」になることが多い。

12月は、IPO銘柄への評価が分かれる傾向があり、判断が難しい。できるだけ底値近辺で仕込みたい人は、年間の底に当たる11月から12月上旬にかけてが買い時かもしれない。

■IPO相場の月別の傾向
時期 特性・傾向
1月 上下旬が案件が少ない。下旬になると初値が急騰しやすい
2月 1月下旬の勢いが続きやすい
3月 年度末の駆け込み上場が増え、需給バランスが緩む。上昇率が下がる傾向
4月 3月の反動で強含み?
5月 ゴールデンウイークで空白期間に
6月 5月の反動で盛り返し?
7月 5月の反動で盛り返し?
8月 お盆の空白期間
9月 8月の空白期間の反動で強含み?
10月 8月の空白期間の反動で強含み?
11月 弱含み。年間の「底」になることが多い。
12月 判断が「強」「弱」で分かれる。

※あくまで一般的な傾向です。過去の事例や感覚、経験則に基づいています。

政治、経済動向にもくれぐれも注意を

季節性は、不確定要素による影響から崩れることがある。例えばある経済的なイベントが起き、その結果が景気にプラスの影響を与える場合、市場の資金は東証の大型株に流れやすい。

それとは逆に、東証1部などの地合いが悪いときには、資金が中・小型株市場に逃げる傾向がある。この場合は、IPO相場にはプラスに働く。

資金調達額の少ない小型銘柄が狙い目

季節性以外ではIPO銘柄の資金調達(予定)額、つまり「公募価格×公開株数」の値に注目するといい。一般に、この額が小さければ小さいほど、初値上昇率が高い傾向にある。

株価は、需給のバランスで決まることが多いため、株数が少ない品薄銘柄は人気化する。逆に、資金調達額が大きいと人気がなくなる。