日本経済は1991年から、平成不況、あるいは平成デフレと言われる経済の閉塞(へいそく)状態が始まった。日銀のゼロ金利政策が続くなど異常な状態が続いている。デフレは、平均価格が持続的に下がる状態で、逆に上がるのをインフレという。デフレは、第2次世界大戦前は多かったが、戦後「過去の病」と思われていた。
日本のデフレ
2005年5月
デフレとは
デフレがどういうことかを考えると、例えば、今100万円あれば、10万円の時計が10個買える。ところがデフレが続き、1個の価格が5万円になれば、20個買えることになる。100万円が200万円の価値になる。実は、多少のお金をもっている人には大変心地がいい。
中高年が恐れるインフレ
日本は戦後、皆が一生懸命働いてきたので、多少のお金はある。60歳で定年を迎えた人は、ある程度の資産があれば、やっていける。こういう人が怖いのは、インフレなんですよ。インフレになった時、中高年の人には働く場所がない。持っている資産もだんだん減っていく。
借金をしている人のデフレ問題
一方で、借金をしている人や企業にとってデフレは問題だ。例えば、1億円の借金がある場合、これが2億円になったとは思えないが、かなり増えているのではないか。多くの企業は借金をしており、物価下落で売り上げが伸びず、人を雇わず、新たな投資意欲もなくなる。
デフレ脱却
日本経済全体からみれば、早くデフレから脱却した方がいい。
銀行の不良債権問題もある程度、めどが立ってきた。3年ぐらい先には、デフレから脱却し、インフレになるのではないか。いわゆる「2007年問題」で、人口減、団塊の世代が定年退職し、年金世代となる。小泉首相の後、政治の流れが変わる可能性がある。消費税は上げざるを得ない。景気が良くなれば、金利が上がり、国債は下落するなど金融市場が大きく動く。
資産の目減りをいかに防ぐか
そうなると、保有している資産の目減りをいかに防ぐかという問題になる。預貯金すれば良い時代ではなく、賢い投資家にならなければならない。インフレまでの約3年間を無駄に過ごさず、証券投資に対して、試行錯誤したり、様々な人の話を聞いたり、様々なことをやってみる。人生を楽しく過ごすには、自己責任で資産を運用することが大切だ。今後、家計を襲ってくる大波を乗り切るだけの最低限の生活技術、ポートフォリオといった金融知識などを勉強する必要がある。